変化

サード・アルバムが完成する頃、5度目の北米ツアーで彼らのライヴは大きく変化
していた。

まず出演料が飛躍的にアップし、それと同時に彼らはいっさいオープニング・アクト
を使わないことにした、これにより彼らが会場の消灯時間を気にすることなく2時間
を超えるコンサートを毎晩繰り広げることができるようになった。
9月19日、MSGで行われたライヴで初めて一晩の公演で10万ドル超の興行収入
をあげたのである。

帰国後、ペイジは北米での人気をこう描写している。

 むこうではプラントが次代のミック・ジャガーのように言ってるけど僕らからビッグ
 でセクシーなイメージを打ち出そうとしたことはない・・・セクシーさ云々をイメージ
 の軸にすることはバカげている、今の時代、一番のポイントになるのは音楽さ。

この言葉が物語るように、ペイジは「」での新しい音楽に大きな自信を持ってい
たのだろう。
同時にこのアルバムは歴史的な成功を収めた前作に続くものとして注目を集めて
いた。
しかし一方で彼らのハードロックを愛する何十万というファンに、足元をすくわれた
ようなショックを与えるであろうことをバンドは本能的に察知していたが、それは
どうあっても避けがたい事態だった。

」を聴いた瞬間、バンドのスタイルとしてのバリエーションがはっきり感じ取れ
ると思う。
ヘヴィなリフ中心の曲とは違うアコースティック色濃いサウンドだが、全曲に共通
する驚くべきパワーは変わっていない。
ここでもっとも影響したのは、プラントの音楽性と、それまで抑えられていたペイジ
のトラディッショナル・フォークに対する憧れである。
もとよりプラントツェッペリンに加入したときからモビー・グレイブバッファロー
スプリングフィールド
といった個人的好みと、バンドのハードなアプローチを融合
することは不可能ではないと主張していた。

 前々から僕はツェッペリンらしさをなくさない範囲でああいう分野に足を踏み入れ
 たいと思っていた、前の2作で僕に欲求不満が残っていたという風に見る人もい
 るかも知れないが、とりあえずこのアルバムは僕の望んでいた方向に進んでる
 とだけは言える。


多分にもれず酷評された「」だが、メンバーから見た唯一の問題はジャケットの
デザインだった。
その中に収められた音楽同様に革新的なデザインを目指していたが出来てきた
デザインは目立つものではあったがメンバー全員の期待を遥かに下回っていた。
ペイジはこう語る・・・

 園芸用のカレンダーとか動物のサイクル表みたいなものになるはずだったんだ
 腕のいいデザイナーだったけど意図がうまく伝わらなかった、締め切りもあった
 から妥協してしまったけど。

はたして意図がうまく伝わったジャケットというのはどういうものだったんだろう?
今からでも遅くないので見てみたいものではある。

こうして発売された「」は24日付けのチャートに3位で初登場(このとき同時に
リリースされたオールマン・ブラザーズのセカンド・アルバムが初のチャートイン
を達成している)、2週目には首位に輝き以後一ヶ月に渡ってその座をキープす
ることになる。

これまた例によって米国のAM局とアトランティックからシングル・カットが熱望さ
れ、バンドは乗り気でなかったものの「移民の歌」が発売されたが、本国では
リリースされなかった。
フィル・カーソン(アトランティックの欧州担当:前出)はピーター・グラントに対して
打診するそぶりすら見せていなかった。

結局「」は31週という短期間(前2作に比べれば)でチャートから姿を消すこと
になったが、これは評論家による批判も一因になっていたのかも知れない。

皮肉なことにデビュー当時そのパワフルさを馬鹿にしていた連中が今度はそう
したスタイルから抜け出そうとしていた彼らを物笑いの種にしたのである。
これ以降バンドはなおのことシングルを嫌うようになった、一貫した姿勢から
切り取っただけのシングルを自分たちの代名詞にされてしまうからだった。

一方、バンドの成功が確固たるものになるにつれ、「解散するかも・・・」という
無責任な噂が流れ始めた。
しかし彼らのアコースティックな成長を拒否しつづけるマスコミをよそに、「
のリリースに先立ってより深い何かが生み出されようとしていた。

ペイジプラントはブロン・イ・アーでの多くの発想の中から生まれた秘密の
新曲に心を奪われていた・・・

 ひとつアイデアがあって・・・すごく長い曲のアイデアなんだけど「幻惑されて
 みたいに途中でがらっと雰囲気が変わる・・・アレの新しい形というか。
 失敗するといけないからこれ以上は言えないけど・・・でも間違いなく成功する
 と思うよ。


とにかく「」の商業的失望で彼らが落ち込んでいると思うのは早計だった。
それどころか彼らはその後のロック史に燦然と輝くであろう決意表明ともいう
べき曲の初期ヴァージョンに着手していた。

彼らは「天国への階段」の最初の一段を登ろうとしていたのである。


                                     (つづくw)



【たしかにね】
一年以上に渡ってチャートインした一枚目、二枚目に比べたら31週っていうのは
短いですが、それでもそうとうなもんですよねw

なぜ私が ZEPPELIN にこんなに惹かれるのか・・・私ももともとフォークから音楽
に入ったんで、ペイジプラントの根底に流れるものに共鳴してしまったのかも
しれません(^^)
このアルバムにしても「IMMIGRANT SONG」などハードでヘヴィな曲も好きですが、
FRIENDS」「GALLOWS POLE」みたいなトラディッショナルな曲も大好きなんです♪




あ、今日は七夕だ・・・晴れてるといいなっ!(^^)
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by shika_monologue | 2005-07-07 00:08 | 鉛の飛行船の話 | Comments(1)

Commented by 奈良の鹿 at 2005-07-07 15:26 x
最近で長期間チャートインしたのってなんだろうな(^^)
たしか PINK FLOYD の「狂気」は10年くらいチャートに入ってた
ような気がしますね、そのへんkawamukaiさんとかだと詳しい
んだろうけど(^^ゞ
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