難関

最後の、そして一番大きな問題は4枚目のジャケット・デザインだった。

表面に一切、何のクレジットもないジャケット。
それは前代未聞であり、発売元であるレコード会社は猛反対をする。


ビートルズ以降、アーティストがデザインに口を出すことは通例化してきた感はあったが
それは常識の範囲内・・・あまりに突飛なデザインを提案された場合はレコード会社側は
拒否権を発動できる、という条項を振りかざしてきたのである。
もちろんレコードを製品として世に送り出すのはレーベルの仕事であり、レコード会社が
その方法について熟知しているという主張は当然かもしれない。
しかし、そこにはもっと別の・・・次元の違う問題があり、そうした立場の違いが大きな論争
を呼ぶことになった。

 (その問題となったジャケット・・・皆さんはすでによくご存知でしょうがここでは話の筋の
  ため、一応書いておくことにします)

」をマスコミにさんざんけなされた結果、彼らはすこし危うい立場にあった。
ツェッペリンの(というよりプラントの)セクシーさばかりを云々する記事も少なくなくバンド
のイメージが損なわれる危険性があった。

これらの言いがかりを払拭するためにも彼らは自分たちの音楽とリスナーとの接点に何
も介さないことに決めた。
」~「」についてジャケットの印刷に不満を抱いていた彼らの意向はピーター・グラント
を通じてアトランティックに伝えられたが、そういう事態をまったく予想していなかった連中
は慌てに慌てた。

 4枚目のアルバムではあえてグループ名を外し、外側から一切の情報を排除する。
 名前とか曲名とか、それらは何の意味ももたない、意味があるのは僕らの音楽だけ。
 音楽が良くなければ誰も僕らの名前に関心を持ったりしない、逆に音楽さえよければ
 名前なんて関係なくちゃんと聴衆の耳に届くはずだ。
 4枚目のジャケットにはどこにも「LED ZEPPELIN」の名前は出てこないし、お決まりの
 クレジットも全部省いてある。
 純粋に音楽だけで勝負がしたいんだ。

 バンドのイメージ作りにジャケットがどれだけ重要かということを認識してほしい。
 デザインがこちらの希望通りにならなければマスターテープは渡さない。


膠着状態は数日間続いた。
アトランティックはこうした前例を作ることを恐れたが、最終的にこの記念碑的なデザイン
を渋々ながら認めることとなり、幻想的なジャケットは見るものにショックを与えた。

ペイジがそのジャケットについての解説をしている。

 木を背負った老人は自然と調和した状態にある、自然から採ったものを土に返して
 いるからだ。
 自然のサイクルに沿っているわけで何の問題もない。
 しかし昔ながらの山小屋が撤去されて老人は都会のスラムに無理やり住まわされ
 てしまう。
 インナーの隠者は、真実と啓示の光をふもとにいる若者にかざしている。
 タロー(タロット)カードに詳しければ隠者の意味も判るはずだ。

 【解説】
 タローカードにおける隠者の一般的な意味は、「『一歩引いたり熟考することなく現行
 の道をそのまま進んでいくこと』に対する特別な警告」。


マスター・テープとアート・ワークを完成させた4人は戸惑うアトランティックを尻目に
ツアーに乗り出し、途中ハワイで一週間の休暇を挟んで「移民の歌」がナンバー1に
つけていた日本で初となるツアーを開始させた。
メンバーはこの10日間を大いに楽しむことになる。

日本へは例によってフィル・カーソンが同行していたが、彼はこの旅を満喫するととも
に、時には妥協を迫られたり、時には抜き差しならない立場に追い込まれたりした。
そのひとつが東京ヒルトンにおける乱痴気騒ぎ。

長期のホテル住まいで鬱憤の溜まっていた一行は気晴らしにいろんなイタズラを
仕掛けていたが、ある時プラントが間違ってカーソンの枕を窓の外に放り投げて
しまった。
やむなく窓から這い出したカーソンだが格好はバスタオル一枚だけ、警備員に通報
された彼は事情を説明するのに大汗をかいた。

こんな事件もある。
広島での公演を終えて大阪・京都方面に向かう車内、そのころイタズラの対象は
ペイジになっていたがジョンジーは間違えてグラントに仕掛けてしまった。
(その後の騒ぎは彼らの名誉のため省略させていただくが)同席していた日本の
宣伝マンは顔面蒼白でクビを覚悟していた・・・コレが原因でバンドが解散すると
思ったようだが、彼らにとってはそれは日常茶飯事だったのである。

翌日の新聞には一面で騒ぎの一部始終が報道されたが・・・


こうして嵐のような一行が日本を去った晩秋の1971年11月8日、一切何の情報も
なく中身が計り知れない一枚のアルバムが発売された。

                                     (つづくw)


【アルバム名】
といっても無いんだから仕方ないですが、それゆえに様々な呼び方をされるように
なった4枚目。
ルーン・アルバム」なんて呼ばれ方もしますね(^^)
それはインナーの曲名の上に書かれた四つのシンボルを表しています。

これらについてはそれぞれ本人が解説していたりするんですが、また機会があれば
紹介したいと思います・・・・・塩バターコーンラーメン♪(^0^)ノ
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by shika_monologue | 2005-07-14 00:07 | 鉛の飛行船の話 | Comments(2)

Commented by kawamukai at 2005-07-14 08:41 x
おはようございます(^o^)
いや~、そのジョンジーがグラントに仕掛けたイタズラが気になりますね。なんだったんでしょう?今でこそタイトルなしのアルバムはよく見かけますが当時は画期的・驚きだったのでしょう。よくよくすごいバンドですね。
Commented by 奈良の鹿 at 2005-07-14 09:00 x
洋盤って日本ででるとき「帯」がついちゃうじゃないですか、
このアルバムってやっぱり「帯」ついてたのかな~?
だとしたらせっかくのクレジットなしが台無しになっちゃいますよね(^^;)
当時のことよく覚えてないんですよね、「帯」かかってた気はするんですがw
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