人気ブログランキング | 話題のタグを見る

(4) 予感

そして・・・アパートに戻ると、階段の下に猫がいた。

さっきと同じ体勢で、まるで置物のようだ。


『よう、まだいたのか・・・ウチに帰らなくていいのか?』

『・・・・・』

『ははは、何言ってんだろうな俺は』


カエルうちナンテナイヨ・・・


『!』

『・・・・・』

『やっぱりお前なのか?』

『・・・・・』

『どうしちゃったんだ?、俺・・・なんかおかしいよな』


キヅイテナイノカ?


『何だよ、お前なんか知ってるのか?』


ソノウチ、ワカルヨ・・・


『教えてくれよ、何が起こってるんだ?』

『・・・・・』

『なあ、お前何か知ってるんだろ?』

『・・・・・』

『今度はだんまりかよ・・・』

『・・・・・』

『何なんだよ、いったい』


そう呟きながらも、猫に話しかけている自分がバカらしくなってくる。

ふと我に返って周りを見渡したが、幸い誰にも見られていなかったようだ。

そのまま部屋に戻ろうかとも思ったが、どうしても猫のことが気になった。

都会での一人暮らし、相手が猫でもいないよりはマシかもしれないな。

そんなことを考えてる自分がいる。


『帰るところがないんだったら、ウチに来るか?』

『・・・・・』

『遠慮するなよ、食い物も買ってきたからさ』


にゃ~


と一声発すると、階段を上がる私を追い越して行く。


『どうした?、猫みたいな声出しやがって』


にゃ~


『さっきみたいに喋ってくれよ、俺が言ってること判るんだろ?』


追いかけていくと、彼は私の部屋の前にちょこんと座っていた。


『やっぱり判ってるんじゃないか』

(4) 予感_d0021258_19262188.jpg


もうそれが不思議でもなんでもないような気がした。

すでに状況を受け入れ始めた自分がいる。

部屋のドアを開けながら、これから相棒になるかもしれない彼に声をかけた。


『まあ入れよ、ゆっくりしていってくれ』


こうして私と彼の奇妙な共同生活が始まったが、このときはまだ彼の正体を何も知らなかった。

ただ一つだけ・・・


何かが大きく変わる、そんな気がした。




・・・続く

by shika_monologue | 2013-04-13 20:22 | この物語はフィクションです。 | Comments(4)

Commented by kupoa_kupa_5i7i at 2013-04-15 01:44
声かけちゃうんですよね わかります。
なにやってんだろ ってのも^^;

どんな続きなのでしょうかぁ?
・・怖いのは いやいやよーー;
Commented by 鹿さん at 2013-04-15 18:10 x
にゃんこやわんこに思わず声かけちゃうのは
ありますよね~
で、やっぱりその跡まわりを確認したり(笑)
ダイジョブですよ~、怖くはならない予定です。

あくまでも『予定』だけど・・・(^^ゞ
Commented by のぐち at 2013-04-25 15:59 x
な、なにが・・・変わるんだ!?

予定とは常に変わるもの(笑)、話は変わりますが、こうしたアパートの名前、最近は◯◯荘という名前って見かけなくなりましたねぇ。
ハイカラな横文字だったりして(爆)。
Commented by 鹿さん at 2013-04-25 18:26 x
不二子マンガでお馴染み「ときわ荘」とか超有名ですよね(^^)
手描きの木の板で看板かけてたものですが。。

ウチのボトアパートも「〇〇ハイツ」ですから(笑)
名前
URL
削除用パスワード