(4) 予感
そして・・・アパートに戻ると、階段の下に猫がいた。
さっきと同じ体勢で、まるで置物のようだ。
『よう、まだいたのか・・・ウチに帰らなくていいのか?』
『・・・・・』
『ははは、何言ってんだろうな俺は』
カエルうちナンテナイヨ・・・
『!』
『・・・・・』
『やっぱりお前なのか?』
『・・・・・』
『どうしちゃったんだ?、俺・・・なんかおかしいよな』
キヅイテナイノカ?
『何だよ、お前なんか知ってるのか?』
ソノウチ、ワカルヨ・・・
『教えてくれよ、何が起こってるんだ?』
『・・・・・』
『なあ、お前何か知ってるんだろ?』
『・・・・・』
『今度はだんまりかよ・・・』
『・・・・・』
『何なんだよ、いったい』
そう呟きながらも、猫に話しかけている自分がバカらしくなってくる。
ふと我に返って周りを見渡したが、幸い誰にも見られていなかったようだ。
そのまま部屋に戻ろうかとも思ったが、どうしても猫のことが気になった。
都会での一人暮らし、相手が猫でもいないよりはマシかもしれないな。
そんなことを考えてる自分がいる。
『帰るところがないんだったら、ウチに来るか?』
『・・・・・』
『遠慮するなよ、食い物も買ってきたからさ』
にゃ~
と一声発すると、階段を上がる私を追い越して行く。
『どうした?、猫みたいな声出しやがって』
にゃ~
『さっきみたいに喋ってくれよ、俺が言ってること判るんだろ?』
追いかけていくと、彼は私の部屋の前にちょこんと座っていた。
『やっぱり判ってるんじゃないか』
もうそれが不思議でもなんでもないような気がした。
すでに状況を受け入れ始めた自分がいる。
部屋のドアを開けながら、これから相棒になるかもしれない彼に声をかけた。
『まあ入れよ、ゆっくりしていってくれ』
こうして私と彼の奇妙な共同生活が始まったが、このときはまだ彼の正体を何も知らなかった。
ただ一つだけ・・・
何かが大きく変わる、そんな気がした。
・・・続く
by shika_monologue | 2013-04-13 20:22 | この物語はフィクションです。 | Comments(4)
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kupoa_kupa_5i7i at 2013-04-15 01:44
声かけちゃうんですよね わかります。
なにやってんだろ ってのも^^;
どんな続きなのでしょうかぁ?
・・怖いのは いやいやよーー;
なにやってんだろ ってのも^^;
どんな続きなのでしょうかぁ?
・・怖いのは いやいやよーー;
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鹿さん
at 2013-04-15 18:10
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にゃんこやわんこに思わず声かけちゃうのは
ありますよね~
で、やっぱりその跡まわりを確認したり(笑)
ダイジョブですよ~、怖くはならない予定です。
あくまでも『予定』だけど・・・(^^ゞ
ありますよね~
で、やっぱりその跡まわりを確認したり(笑)
ダイジョブですよ~、怖くはならない予定です。
あくまでも『予定』だけど・・・(^^ゞ
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のぐち
at 2013-04-25 15:59
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な、なにが・・・変わるんだ!?
予定とは常に変わるもの(笑)、話は変わりますが、こうしたアパートの名前、最近は◯◯荘という名前って見かけなくなりましたねぇ。
ハイカラな横文字だったりして(爆)。
予定とは常に変わるもの(笑)、話は変わりますが、こうしたアパートの名前、最近は◯◯荘という名前って見かけなくなりましたねぇ。
ハイカラな横文字だったりして(爆)。
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鹿さん
at 2013-04-25 18:26
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不二子マンガでお馴染み「ときわ荘」とか超有名ですよね(^^)
手描きの木の板で看板かけてたものですが。。
ウチのボトアパートも「〇〇ハイツ」ですから(笑)
手描きの木の板で看板かけてたものですが。。
ウチのボトアパートも「〇〇ハイツ」ですから(笑)