傷心

ケルトの英雄にちなんでカラック・プラントと名づけられた少年の死を悼み、バンドはしばし
活動を停止、さらには長年プラントのアイドルだったエルヴィス・プレスリーの死亡などで
彼らはなおさら苦悩することとなった。
追い討ちをかけるようにボンゾの運転する車がスピン、ムードはさらに悪化する。

英国のタブロイド紙には解散説が流れ、ペイジも噂を抑えに動かなければならない状況
だったが、事態はもはや手がつけられなくなっていた。

中でもペイジの神経を逆撫でしたのが、彼のオカルト趣味の影響で一連の事故や悲劇が
起こったというマスコミの中傷だった。
普段口数少ないペイジにして、これには癇癪を爆発させる寸前で不満を漏らしている。

 最近僕らをネタにしたヨタ話が嫌になるくらい出回っている。
 僕がストーンズに入るなんてのもあったし・・・ミック・ジャガーに「プラントが加入する可能
 性は?」なんて質問するマスコミもいる、よくもまあそんなバカなことを思いつくもんだ。
 それにツェッペリンが解散するっていう根も葉もない噂が、なぜかわからないけどいつま
 でたっても収まらないんだ。

77年のクリスマスが近づく季節、ペイジは自宅のスタジオに入り浸ってプラントの復帰を
心待ちにしていた。
友人達には「大丈夫、きっと戻ってくる」と自信たっぷりだったが、当面はプラントが家族
と喪に服している間、バンドとしてはいっさいの予定をたてないことが決まっていた。
いつものように音楽誌の人気投票で上位を独占したという明るいニュースをもってしても
この状況を打開するにはあたらなかったのである。

こうして息を潜めていたバンドだったが、翌年5月には再結集し1ヶ月に及ぶリハーサル
を開始した(ペイジの立案でプラントも渋々ながら同意した)。
これは9枚目のアルバム用に曲を準備し、ステージ復帰への足がかりを作るのが目的
だった。
明らかに「手探り」の時期であり、実際に音を出してみることでこの先やっていくことが
できるかどうか確認するための作業だったのである。
セッションは前向きな音を奏で、ペイジプラントは本腰を入れて新曲に取り組み始め、
ようやく彼らは再始動した(これらの作業は解散などについて話し合うこともなく、すべて
あうんの呼吸で進められた)。


解散の噂こそ収まったもののファンに対しては何のインフォメーションもなかったがその
舞台裏では完成したばかりの新曲を一心不乱にリハーサルする彼らの姿があった。
準備はすべて秘密裏に進められたのである。
バンドは様々な憶測が飛び交うロック・シーンへの復帰を驚きに満ちたものにしたいと
考えており、現にそれは実現した。

計画がマスコミに漏れたのは12月のことであったが、なかでもこの報せはツェッペリン
など過去の産物にすぎないとタカをくくっていたパンク世代に衝撃を与えた。
「アルバム完成までにえらく時間がかかるのでは?」という中傷をよそに、ジョンジー
が全体的な監修にあたった9枚目のアルバムはわずか3週間の集中レコーディングで
おおよそ完成する。

ツェッペリンのアルバムでジョンジーがほぼ全曲について手がけるというのは初めて
であり、後のインタヴューでも自分がかつてなく大きな役割を果たしたことを認めている。

 あれは僕のアルバムと言えるんじゃないかな、「プレゼンス」がペイジのアルバム
 だったと言えるようにね。
 すごくキーボード主体のアルバムでもある、ちょうどキーボード類がのしてくる時代
 に作られたアルバムだったせいかもしれないけど。
 でも、いずれはこのバンドをキーボード・バンドにしようなんて計画は全然なかった。
 単にテクノロジーと歩調を合わせて進歩していっただけさ。


ペイジの完全主義者ぶりから見て永遠に完成しないのではないかと危ぶまれた作品
だったが、それは誤りだったことがほどなく証明された。
前作「永遠の詩」から35ヶ月、スタジオ・アルバムとしては「プレゼンス」から実に3年半
ぶりの新作(彼らが純然たる新作を発表するまでこんなにも長くかかったことは初めて
だった)は開封するまでどれかわからない6種類のジャケットに包まれて店頭に並んだ。
永らくシーンから遠ざかっていた彼らだが、実際には並のバンドならとっくに活動停止
していてもおかしくないくらいの激動を体験していたのである。

メンバー達はパンク・ロックが一変させたロック・シーンへの復帰を真剣に捉えていたし
また70年代を通じて他の追随を許さなかったライヴ・ステージへの復帰計画も練られ
ていた。

こうして1979年8月15日、多くのファンがそれまで体験したこともないような内容をもっ
て「IN THROUGH THE OUT DOOR」が発売された。

                                        (つづくw)


【たしかに】
このアルバムは異色作かもしれません。
プロデュースする人間によって、同じメンバーでも作品の印象はこれほど変るものか
というのを実感します。

でも音を聞けば、これは紛れもなくツェッペリンのアルバムなんです。

「IN THROUGH ~」のリリースは前年キャンディーズが解散してしまって落ち込んで
いた私にとって明るいニュースでした(爆)
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by shika_monologue | 2005-10-02 00:29 | 鉛の飛行船の話 | Comments(2)

Commented by 奈良の鹿 at 2005-10-02 11:47 x
何回キャディーズ、けっこう好きですが・・・何か?(^-^)
Commented by 奈良の鹿 at 2005-10-02 23:56 x
二人ともヘンな頭巾かぶってるのさ・・・・(T-T)
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