可能性

発売されて一週間のうちに「IN THROUGH THE OUT DOOR」はツェッペリン6作目
のナンバー1アルバムとなった。
音楽業界はその復帰を祝福し、過去のアルバムもチャートに返り咲いた。

アトランティックの重役達はこのアルバムの成功理由のひとつとして次のような事柄
を挙げている。
それは神秘性を秘めたジャケット仕様にあった。

このアルバムのジャケットは二重構造になっており、茶封筒のような外袋のなかに
同じシチュエーションで異なる6つのデザインの内ジャケが入っており、それは開け
るまで判らない状態で、マニア心を大きく揺さぶったのである。

ニュー・アルバムに対するマスコミの反応は一様ではなかったが、それでも初期に
比べればずっと好意的だった。
例を挙げると・・・

 基本的にはロックンロール・アルバムでありながら、同時に様々な分野にも手を
 伸ばしている、こんなにも楽しい道草を私は他に知らない。
 相対的に「IN THROUGH~」は4枚目以来もっとも強力な作品である。
                              -クリーヴランド・シーン誌-

 一瞬でもエネルギーを犠牲にすることなくレイド・バックしたアルバムだ。
 派手さよりもバンドのアンサンブルに重点を置き、ほぼ全曲がそれぞれ特色を持
 つ傑作に仕上がっている。
 驚くべきことに10年を経ても彼らの曲は変わらない、今も新鮮でスカッとさせてく
 れる。
                                     -サーカス誌-

こうしてツェッペリンは多くの試行錯誤や試練に負けることなく70年代を走りぬいた。
彼らはかつてないスタイルで10年間に挑みつづけ、ごく短期間のうちに他をはるか
に引き離して70年代を代表する地位を確立した。


80年代が始まって最初の数ヶ月、ほとんど音沙汰のなかったツェッペリンだったが
その裏ではステージ復帰に向けてゆっくりと動き出していた。
彼らは自分達が80年代においても十分通用するバンドであるということを、世界に
向けて証明したいと考えていたのである。
5月30日には、73年以来ひさびさのヨーロッパ・ツアーを開始するとスワン・ソング
から発表があった。

カラック・プラントの死去以来、初めてのツアーはドイツのドルトムントを皮切りに
20日間ほど続いたが、多くの人々を困惑させたのは英国のマスコミが驚くほどに
このツアーについて記事にしなかったことである。
バンドの完全復調を示すイベントであったにもかかわらず、マスコミはほとんど一言
もその事実に触れようとはしなかった。

実際にツアーはこの上なく順調に進んでおり、唯一の問題らしい問題?といえば
ボンゾの肉体的疲労を理由にニュールンベルグ公演がキャンセルされたことぐらい
だった。
6月27日、同公演中にボンゾがドラム・スツールから滑り落ち昏倒するという事件
が起こったのである。
この夏の夜に起こった小さな出来事が、後に起こる事件の前触れだったとは誰も
思ってもみなかったのだが・・・・


それまで、まるで雪だるまのように膨れ上がっていたステージ・セットはこのツアー
で元に戻されツェッペリンは素のままの4人を見せることにした。
そして1980年9月、スワン・ソングは北米のマスコミに次のようなニュースを伝えて
いる。

 1980年代のツェッペリン:Part.1
 本日ピーター・グラントは、ツェッペリンが10月中旬より米国ツアーを開始すると
 発表した。


グラントは4人をツアーに復帰させたことで有頂天になっていたが、彼にはプラント
を説得するという大役が残されていた。
前のツアー中に子供を亡くしたのが全ての元凶で、プラントは米国行きを嫌がって
いたのである。
しかし一方で新時代の始まりを自覚していたプラントは、グラントの説得に応じる
こととなる。

ファンはチケットに殺到し、パンクの台頭による音楽シーンの混乱をよそに彼らの
神話は脈々と生きていた。
本当の意味での迫力に欠け、目先の変化に囚われた昨今のニュー・ウェイヴに
飽きていた人々はツェッペリンの再生を快く受け入れたのである。

再び、天国への階段を昇ることができる・・・・そんな魅力的な夢は、誰も予想でき
なかった悲劇によって打ち砕かれることになる。

                                      (つづくw)



【次回は】
いよいよ・・・・です。
サスガにちょっと心が苦しいかな?
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by shika_monologue | 2005-10-09 00:42 | 鉛の飛行船の話 | Comments(1)

Commented by 奈良の鹿 at 2005-10-09 12:03 x
↑直しときますた・・・・・(-_-;)・・・ミル貝・・・牡蠣・・・・ホタテ・・・
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