定員オーバー

『ねえ、けっこう怖かったよね』

『そうか? たいしたことなかったじゃん』

『でもトンネルの壁に足音響くし、あの照明の色も不気味に見えてアタシ嫌い』

『まあ心霊スポットなんて、噂が大げさだから怖く思うだけだよ』

『そうかなぁ・・・何かに見られてるような気がしたんだけどなぁ』

『バカ、そんなことあるわけないだろ』


彼女とけっこう有名な心霊スポットを訪れた帰り道、真夜中の道路を走らせる。
ドライブスルーで買ったハンバーガーを齧りながら、ついさっきまでいたトンネル
の話で盛り上がっていた。
怖がりな彼女をなだめるのは、もういつものことだ。
深夜なので他に車もなく少しスピードを出していると、突然サイレンが聴こえた。
気がつくと、いつのまにかパトカーが後ろについている。

d0021258_1041011.jpg


『前の車、脇に寄せて停車してください』

しまった、スピード出し過ぎたかな?
彼女と顔を見合わせてため息をつきながら、俺は素直に車を路肩に停める。
サイドミラーを見ると、パトカーから降りてきた警官がちょっと不思議そうな顔
をしているのが見えた。

『すいません、スピード出過ぎてました?』

こういうときは素直な態度に出た方が、心象がよくなるというもんだ。
わざと神妙な顔で見上げると、警官は首をひねりながら車内を覗いている。

『あ・・・いや、スピードはそれほど出てなかったんだけどね』

『じゃ、他に何か?』

『君たち、二人だけだよね?』

『はい、そうですけど』

『・・・おかしいな』

『どうかしたんですか?』

『いや、後ろから見たら定員オーバーに見えたんだけど・・・』

『でも、僕らずっと二人だけですよ』

『そうか、悪かったね・・・車は少ないけど、安全運転で帰ってね』

『はい、ありがとうございます』

納得いかない様子で警官がパトカーに戻り、発車するのを見送った。


『ふー、なんか判らんけど助かったな』

『ねぇ、なんか気味悪いね』

『ははは、気にするなよ・・・じゃ、俺らも帰るか』

車を出すために、ルームミラーを覗いた。
そこには・・・



見知らぬ顔が四つ、無表情に映っていた。
[PR]

by shika_monologue | 2014-05-21 20:02 | この物語はフィクションです。 | Comments(2)

Commented by ひま at 2014-05-21 21:30 x
4つ!
そりゃ、定員オーバーだ(笑)
心霊スポットなんて、むやみに行くもんじゃないよね。
怖い怖い。。。
Commented by 鹿さん at 2014-05-21 22:03 x
ミニバンだったらよかったのにね~・・・

って、そういう問題じゃない(笑)
名前
URL
削除用パスワード