5人目

彼がいなければ今のツェッペリンの成功は無かったんじゃ?
というのは情報通の認めるところとなっている。

1968年11月、マネージャーのピーター・グラントは視聴用のカセット、マスター
テープ、ジャケットのアートワーク、そして胸いっぱいの期待をアタッシュケース
につめてニューヨークに降り立った。
目的はまだ無名である新しいバンドの世界配給契約を取りつけるためである。

業界への手がかりはファースト・アルバムの裏ジャケ写真、唯一このバンドと
ヤードバーズを繋げる証でもあった。


  【補足】
  ヤードバーズのサイドギタリストだったクリス・ドレアという男がいた。
  彼は崩壊していくヤードバーズ神話の真っ只中で、ペイジが新バンドを作る
  ときは協力しようと思っていたが、けっきょくバンドの終焉までは見届けず
  脱退してしまう。
  英国に帰ったドレアはその後フォトグラファーの道に進み、ペイジの新バンド
  が結成されたときアルバム裏ジャケの写真を手がけることになったのである。


ヤードバーズは米国ではCBSの子会社であるエピック、欧州ではEMIと契約
していたがグラントはそのどちらにも話を持ちかけていない。
商業然とした両者に対する彼の気持ちが計り知れるエピソードである。
その代わり、グラントはアトランティック・レコードのニューヨーク・オフィスに直行
する。
アトランティックの首脳陣はグラントの仕事の仕方、持ち込んだデモテープの
驚異的なサウンドをその場で高く評価した。
クリームアレサ・フランクリンなどの歴史的アルバムをチャートに送り込み、
60年代末のアルバム主体の音楽シーンを理解していたアトランティックは即座
にグラントと契約する。
契約金は約20万ドルといわれている、当時の新人バンドとしては破格の金額
だが、これはその後の活躍を顧みれば・・・ほんのはした金であった。

その後なぜかグラントと彼の弁護士はCBSの社長を訪ねている。
同席した重役はそのときの会議についてこう語った・・・

我々はヤードバーズのプロモーションに全力を尽くしたし、EMIから北アメリカ
における配給権を獲得していたから・・・だから当然ペイジの新バンドに対する
権利もCBSに移行すると思っていた。
しかし会議でツェッペリンに対する話題は一言も出てこない、とうとう社長が
「ペイジの話はしないのか?」と切り出したが、グラントは「ツェッペリンなら
アトランティックと契約を済ませてきた、ペイジはグループのメンバーとして
契約しているだけで個人としては何の義理も無い」と答えた。
ヤードバーズがお気に入りだった社長は激昂した、あの会議は一生忘れら
れないだろう。

ここでペイジとCBSについてのエピソードがある。
ヤードバーズ時代、欲にかられたCBSがライブアルバムを勝手に出そうと
したことがあり、それ以来ペイジはこの会社に対して愛想をつかしていた。

1968年も終わろうとする頃、バンドは5年間の契約を結ぶが、その中にこんな
条項があった。
それはクリエイティブ面に関して完全な自由をバンドに与えるというもの。
彼らのレコードはアトランティックの介入無しに製作され、アートワーク、広告、
パブリシティフォトなど、イメージに関わる全てはバンドの管理下に置かれる。
今でこそセルフ・プロデュースという手法は一般的であるが、その時代では
歴史的な契約だった。

お披露目を兼ねた北米ツアーは12月末、デンバーからスタートする。
新しいバンドをアメリカの観衆に紹介し、アルバムの売上に繋げるのが目的
だった。
同時に業界には視聴盤が配られたが、ヤードバーズ人気が高かった西海岸
での反応は大きく、デビューアルバムには5万枚以上の予約が寄せられた。
新人バンドとしては悪くない数字である。


そして1月12日、ペイジ25歳の誕生日から三日後に「LED ZEPPELIN」が
正式にリリースされた。

                                     (つづくw)



【予告】
なんてもんじゃないですが、とうとう一枚目が発売されてしまいましたんでw
次回はこのナンバーに対する「鹿の独り言」です。
あくまで「独り言」ですんでツッコミはなしね(爆)

kawamukaiさん、前回の・・・正解ですw
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by shika_monologue | 2005-06-03 02:36 | 鉛の飛行船の話 | Comments(2)

Commented by kawamukai at 2005-06-03 09:18 x
こんなビジネスの話も面白いですね。
>それはクリエイティブ面に関して完全な自由をバンドに与えるというもの
こういう先人の功績が後の音楽シーンのためになっているのでしょう。素晴らしい。日本じゃまだこんな状態ありませんものね。しかしその当時から契約などに関する欧米人の意識は違いますね。 ZEPが新人だった頃を想像するとちょっとわくわくしますね。

バンド名、素直に格好よかったんですね(o^o^o)
Commented by うん、な鹿 at 2005-06-03 20:12 x
私もね、今のミュージシャンで好きなのはいっぱいあります(^^)
でもどっちかというと「マニアック」なのばっかりw
こんなん誰も知らんやろ!ってのがけっこうね♪
どうもメジャーになると商業主義にノッちゃうようなのが多くてね、
困ったもんです、やっぱりプロデューサがそうしちゃうのかな?って。

セルフ・プロデュースするってことはリスクを全部自分で背負うって
ことなんで怖いもんですが、そういう冒険をもっともっとしてほしいな
というのが正直なところ。
人任せで失敗するより、自分の力を試して失敗するほうが納得する
と思うんですけどね~(^^)
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