出る杭

その週、ビルボード誌のチャート1位はビートルズの「ホワイト・アルバム」。
以下、グレン・キャンベルアイアン・バタフライジェファーソン・エアプレインなど、
多種多様なアーティストがしのぎを削っていた。

ファースト・アルバムは初登場99位、2週間前にフィルモア・イーストで行った
コンサートがニューヨーク周辺での売上に大きく影響したのだろう。
彼らはヘッドライナーであったアイアン・バタフライを圧倒し、ついには業界から
追いやってしまった。
アルバムは最高位こそ10位(1969年5月17日)にすぎなかったが73週連続、
約1年半にわたってチャートを賑わすという離れ業をやってのける。
その後70年代に入ってからも何度かチャートに返り咲き、もはや驚異としか
いいようがない。

彼らはこの偉業をアルバムからのシングル・カットという手法を借りず、ラジオ
でのオンエアやマスコミの支持もないという状況で達成したのである。

しかし数少ない例外を除き、大半の評論家は無視するか、でなければ徹底的
に潰しかかった。
たとえば、ローリング・ストーン誌は70年代前半を通じて、彼らのやる事なす事
すべてに辛辣に批判したが、後にそれを大いに悔やむことになる。

LAのバンドのドラマーでもあった評論家のJ・メンデルスゾーンは3月15日号に
こんなレヴューを残している・・・

 彼らがクリームの解散によって空いた穴を埋めるつもりなら、まずはエディター、
 プロデューサー、そして彼らにふさわしい楽曲を見つけてくるのが先決である。

おそらく本人は名言のつもりだったんだろうが、今ではこのレヴューは嫉妬心
にかられた「迷言」の古典となってしまった。

ツェッペリンのデビューを好意的に受け止めた評論家はほんの一握り。
オズ誌に「ロックの転機」と書いたフェリックス・デニス、パンチ誌に「本年度の
ロック・アルバム決定版」と書いたクリス・ウェルチ、ほかにはリッチー・ヨーク
などがそうである。

だが、大衆は即座に彼らを受け入れた。
ペイジはバンドがその場で受け入れられたことについて語っている・・・

 僕らは数週間で1枚のアルバムを作っただけの経験もないバンドだった。
 そのアルバムにはたった一つの売りしかない、それはまじりっけのない熱意だ。
 僕らの成功の秘密は、このバンドがロックンロールに全身全霊を注ぎ込んで
 いたという事実、それとそうした初期のロックの興奮を再現できる能力にあった
 と思う。

後にプラントは当時を観察して興味深く語った・・・

 もう少しリラックスできて、もう少し堂々としていられたら、その分だけ僕にとって
 あのアルバムはいいものになってたと思う。
 フレージングは大差なかっただろうけど、あそこまで神経質な歌い方にはなら
 なかったんじゃないかな、僕はすごく萎縮していた、コンプレックスがあったの
 かもしれない。
 僕はほんとにここにいるんだろうか?ここにいていいんだろうか?みたいにね。


しかし、その後も辛辣な批評は続いていく。
お披露目に成功した米国でさえ「サポーティングアクト」としかクレジットされない
状況、英国ではなおさらで、「ヤードバーズ」という名前を使わないとブッキング
しないというプロモーターもたくさんいた。

もしペイジが自信家ではなく、それでも自分だけ目立ちたいと思っていたとしたら
もっと力不足なメンバーを集めてさっさとスター気取りのツアーを行っていたかも
しれない。
たしかに「ジミー・ペイジ」の名は看板にはなっていたが、最初の衝撃さえ大きけ
れば、観客はバンドが「ペイジとそのサポートメンバー」ではなく、大いなる才能
の集合体であると認めてもらえると信じていた。


ツェッペリンには「お客さん」なんていなかった、全員がバンドの売りだったんだ。
                                   -ジミー・ペイジ

                                       (つづくw)



【世の常】
いつの世も大いなる才能というものは歓迎されないものなんですね(^^;)
(これについては、だから支持するというわけではありませんが)ホリエモン騒動の
ときも彼は先達からボロクソに言われてました。
あの背景には先達たちの「若いくせに我々より稼ぎやがって」という嫉妬心がまるで
なかったと誰が言えるでしょうか?
たとえ本人たちに自覚がなくても、心の奥底に微塵もなかったとは・・・???
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by shika_monologue | 2005-06-11 00:18 | 鉛の飛行船の話 | Comments(1)

Commented by kawamukai at 2005-06-13 10:11 x
おはようございます。
私もホリエモンはすごいと思ってます。好きじゃありませんが。昔と違って飽和状態にある現代において何かを大きく動かすアイデアでさえなかなかでてきませんしね。
私にとってZEPPはもうできあがったスーパーバンドだったのでこんな苦労があったなんて驚きです。何か想像しにくいです(^_^;
べるさんの言われる"しかし、けして業界にはこびぬ、独立したものではある"はやはり日本と違って正しい姿だなと思います。私は最近物買うときはブログを信用しています。純粋な意見が聞けてブログって素晴らしいなと思います。
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